広島電鉄は8/10、ひろでん会館を解体した跡地を暫定的にイベントの開催できる広場として暫12月下旬にオープンさせると発表しました。

1964年にターミナルデパートとして開業したひろでん会館は耐震性の不足と設備の老朽化のため閉館し2018年5月から翌19年6月にかけて解体されました。ひろでん会館にあった営業所も電停内にプレハブで仮移設されました。
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                            広電HPより

発表では己斐エリアの玄関口・交通結節点の中心地である立地を活かしベンチや緑地でくつろげるイベント開催可能な広場と地域交流・サロン機能を備え、ワークショップ会場やギャラリー等としても利用可能な建屋を整備したパブリックスペースと飲食中心のテイクアウトを主にした小規模店舗を整備するとしています。小規模店舗は一部に短期間の出典が出来るチャレンジショップを検討中としています。暫定使用期間は3年間を予定し、周辺の開発状況に応じて再検討するとしています。
     
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暫定でのイベント広場ですが広電にとり西広島は2つの世界遺産を結ぶ要所であり、また新幹線や航空機などで広島に来る観光・ビジネス客の乗換駅でありますのでJRやバスとの乗換時間・距離短縮のために敷地内での線路やホームの配置換えは当然検討しているでしょう。大田社長時代には宿泊施設やホールという話もありましたし、そう遠くないうちに会館跡地と電停とをどのように活用する全体像が発表されるのではないでしょうか。

西広島駅南口ではひろでん会館を含む周辺の地権者が再開発組合を立ち上げ当初は2017年に事業推進協力者を決め2018年度の都市計画決定、22年度の完成を目指し事業の具体化を勧めていますがその後の進捗を耳にせず順調とはとは言えないようです。また100mクラスのタワーマンションを含む高層化には北口の再開発が障害となっていることが都市計画審議会で指摘されています。

西広島駅北口再開発は当初は13ヘクタールの区域で計画していましたが2003年に公共事業見直しの対象となり翌04年に中止となりました。己斐中央線は平成2002年に都市計画決定済みであったので残り、2012年度にJR西広島駅の南北自由通路を都市計画道路として決定した上で平成26年から駅前広場を含む北口周辺の2.9ヘクタールに絞り再度計画したという経緯があります。

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                             広島市HPより
 
西広島駅北口周辺は現在、第一種住居地域で容積率は条例で200%となっています。現在の土地利用の6割が戸建て集宅であり、その権利者の大半が区画整理後も同様の利用を希望しています。それに加えて土地区画整理の際に権利者が提供する土地の割合を示す減歩率は予定で43%となり整理後に権利者が手にする敷地面積は現在の約半分になります。実際には土地の先行取得の希望者が当初想定より多く減渉率はもう少し減る見込みとは聞いていますが、北口広場を整備し都市計画道路を通しても狭小な戸建て住宅が林立することが予想されます。

更には住宅を諦めて更地の駐車場にする地権者も相当数出てくると思われます。都市計画道路己斐中央線沿いは沿道近隣商業地域に指定される可能性が高いと思いますが、それでも沿道沿い以外が虫食いの宅地なのは変わりません。これを解決するには都市計画で商業地域への用途変更を行う・先行取得の条件を良くする・狭小敷地の地権者が共同開発をする気にさせる優遇処置を行うなどの誘導施策が必要となります。

もしも北口が第一種住宅地域ままです南口再開発エリアには強力な高さ規制がかかる、これが都市計画審議会での指摘です。北口の用途地域の変更が完了するまで南口は具体的な計画は保留せざるを得ないことになります。これが南口再開発が予定より大きく遅れている最大の要因ではないかと思われます。都市計画のたたき台となる換地計画の業務委託期間は今年度末までであり南口の具体化もそれ移行にずれ込むと思われます。

また区画整理地域を縮小したために北口の西側には古い住宅地が残り線路を挟んだ南口西側では線路沿いに高層建築は困難と思われます。

広島市は西広島駅周辺の再開発を北口は行政により区画整理事業、南口は民間による再開発と分けて考えていますが実際は密接な関係があります。北口の計画次第では南口は大きく遅れたり、最悪力尽きて頓挫する恐れもあります。せっかく民間で再開発をしようとしているのですから行政は阻害するようなことはせず南北を一体として再開発を進めていくべきです。