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街づくり

広島市西区の商業施設アルパークはオーブンから30年が経過し、現在所有する大和ハウス工業により大規模な改装が行われています。全面リニューアルオープンは2023年春の予定ですが、改装が先行していた東棟の一部が12月3日にオープンしました。

また西棟1階には食品スーパのフレスタが出店することが発表になりました。
売り場面積は1,900㎡で最大規模の上天満店に匹敵する規模の旗艦店にするとのことです。

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フレスタの発表では以下のような店舗にするとなっています。

当社は今年で創業134年目を迎えさせていただきましたが、この地区にはこれまで出店がございませんでした。しかし、これからの時代への当社のフラッグシップショップとして、来春に向けて準備させていただきます。

 中略

アルパーク店(仮)では、ファミリー層を中心に広範囲からのお客様を想定した全方位向けの店舗となる予定です。ベーカリー・惣菜・お寿司・お魚・お肉等の生鮮品の圧倒的な鮮度と品揃えはもちろんのこと、出来立て商品のシズル感を重視し、お客様に目でもおいしさを楽しんでいただきます。また、各部門とも品揃えを強化し、アルパーク店オリジナルの商品を含めて、専門店に負けない商品力を実現し、フレスタ史上最大の商品展開を実現します。 



広島市西部に旗艦店を出したいが一から投資するには余力のないフレスタと地場スーパに出店して欲しい大和ハウス思惑が一致したのでしょうが、ただ天満屋の食品売り場に来てたのは高級とまではいかなくても安売店よりは良いものが買いたいという客層なのでフレスタにとっても少々勝手が違うでしょうがかってのユアーズにおけるアバンセのような展開をするチャンスではありますよね。


そんなアルパークに近くである催しに行くついでに少し中を覗いてみました
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リニューアルしたとはいえ東棟全体で70%ぐらいの営業といったところ。目立つ角地に空きが集中してるので余計にフロアに空き家感漂います。
地下1階の食品フロアは閉館前の食品スーパーを中心とした売り場ではなく鮮魚惣菜野菜などの専門店を集めたアルパークマルシェになりました。以前は2階にあった世羅町産の野菜直売所もこちらに移っています。西棟には食品スーパーが入ることが発表されてますし、周辺には価格帯の野菜スーパーが乱立気味に増えていますので特色を出す為にこのような形態になったのだと思います。

食品フロア以外はテナントも引き続きのものも多くファッション以外は正直目新しさはないので早々に離脱して道路を渡って本来の目的である卸街祭りへ向かいました。
端から端からまで歩いて各テントを覗きましたが、日用品から内装材に衣類靴・野菜まで揃いどこのテントも人だかりができていました。
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アルパークが他のSCと違うのは公共交通機を取り込んでるところと周辺に大小の店舗や施設が集まりアルパーク村とでも言うべき形態になってることです。JR新井口駅から泉美術館あたりまでを範囲と考えたらかなりの範囲です。この公共交通を抱えた上で徒歩で入りやすく出やすいというのが車移動に依存する他のSCと違うアルパークの1番の特徴ではないでしょうか。そのことは商圏にも反映されていてターゲットを山陽本線や宮島街道沿い辺りに絞り込んでいるように見えます



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アルパークはリニューアルして綺麗になってましたが、反面周辺の公共インフラ部分の劣化が目立ちました。






先日、広島市が老朽化が進み更新を検討している市立中央図書館の移転先を広島駅前の再開発商業ビル「エールエールA館」に移転する方針をさんを固めた報道がされました。

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報道では中央図書館と同じ建物内の映像文化ライブラリーとこども文化科学館内のこども図書館とともに移転する計画でA館を管理運営する市の3セクの広島駅南口再開発が市に図書館の移転を希望しA館内で核テナントである福屋も誘致に賛同しているとのことです。

記事では今の図書館の広さを維持したまま移転すれば3フロア以上がひつようになるとあります。
そこでざっくりと計算すると受け入れ先のエールエールA館の商業フロアの床面積1階あたり3,711平米、吹き抜けのあるフロアはもう少し小さくなります。
一方入る方は現在の延べ床面積でみると中央図書館が8,000弱、こども図書館と映像文化が1,000と1,200と現状維持でも3フロア必要となります。
 
エールエールA館は1〜5階、6〜9階で吹き抜けになっています。静粛性が求められる箇所の多い図書館と商業施設とが同じ吹き抜けに面することは考えにくいので、6〜9階の4フロアを移転対象としていると考えられます。
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この考えが実現すると福屋広島駅前店は現在のB1〜9階の10フロアから6フロアに大きく縮小することになります。
実は福屋のフロア削減はすでに始まっていて書店のある10階は2021年4月から専門店街フロアとして福屋から除外してるのです。

百貨店という業種を取り巻く環境の変化と広島駅ビルや東郵便局ビルなど今後数年間に相次ぐ近隣の商業施設の開業を見据えて福屋が南口開発に店舗の縮小を申し出てたものの、南口開発は代わりとなるテナントを誘致する目処が立たず代わりに公共施設を入れて穴を埋めようとしたという辺りが実情ではないでしょうか。 

図書館や映像文化ライブラリーをどういう施設にするのかといった具体的な計画や設置条例の改正などが必要で、これらを作成してきちんと議論して議会を通って初めて決定となります。

この移転案は市や3セクからしたら日頃から図書館の利用者増やせだのビジネスの役に立つようしろと
か議会やメディアから言われ続けたので、要望通りの計画にしましたよと言っているような気がしないのでもないのですがそこには中心部の文化施設エリアをどうするのかとかグランドデザインをどう考えているのか辺りがまるっと抜け落ちているように感じます。



広島電鉄は1月に閉鎖・解散した傘下のホテル・ニューヒロデン跡地に三菱地所レジデンスと共同で分譲マンションを建設すると発表しました。
ホテルニューヒロデン跡地にマンション建設へ 広島電鉄が発表
広島電鉄(広島市中区)は21日、1月末に営業を終えた南区大須賀町のホテルニューヒロデン跡地に分譲マンションを建設すると発表した。1342平方メートルの持ち分の半分を三菱地所レジデンス(東京)に売却し、共同で開発する。


 (中略)

 

 立地はJR広島駅から西に約300メートル。駅ビルの建て替えなど、一帯では再開発が進んでいる。ニューヒロデンの建物と土地を所有する広電は、オフィスビルなどを含めて跡地の活用策を検討。京橋川を挟んで縮景園を望むなど、住環境として優れていると判断した。「定住人口の増加を通じてまちづくりに貢献したい」としている。

2021/9/24 中国新聞


ニューヒロデン跡地は広島駅からの近さと敷地の広さからその行方が注目されていましたが分譲マンションになることになりました。
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記事では「京橋川を挟んで縮景園を望むなど、住環境として優れていると判断した」とありますが、該当地は広島駅からの近さと敷地の広さこそあるものの展望は上層階でなければ望めず、下層階は前面の城北通り・背後のJR山陽本線可部線と朝から晩まで騒々しい上に市内でも有数の飲食街・駅西地区に隣接していて高額マンションには適していないように思えます。

ここでなんで広電は三菱と組んだかをちょっと考えてみました。


三菱地所レジデンスは2011年に都心部の大規模複合開発や高級マンションを得意としていた三菱地所の住宅部門と郊外部での開発をメインとしていた藤和不動産とを統合し誕生した会社で高級マンションからファミリー向けまで幅広く展開し、近年ではローコストなマンションを得意とする長谷工コーポレーションとがコラボレーションしたシリーズを販売するなど高額マンションに頼らない展開をしています。

また三菱地所は牛田地区で1階に食品スーパーが入るマンションを建設・販売しています。

これは地場スーパーが万惣が出店していた土地を三菱が買い、万惣と協業で広島で初の店舗と住まいが一体となった「コンパウンドレジデンス」として開発したものです。


img_08      三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 牛田本町 ほおずき通り」 同社HPより

広電が跡地をすべて売却せずに三菱と共同開発するというのは広島での「コンパウンドレジデンス」の第2弾ではないかと想像するのですがどうでしょうか?

広島県は広島マリーナホップとの25年間の県有地の定期賃貸借契約が満了する2025年3月以降の事業運営予定者を選定するための民間事業者からの事業提案を公募しています。
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広島マリーナホップが位置するのは瀬戸内科が目の前に広がる10.5haもの広島で最大級のウォーターフロントエリアで、ヨットやクルーザーが停泊するマリーナに隣接しています。

MH位置図
この場所を特に用途制限を設けず提案内容に応じて10年以上50年未満の定期借地権契約を結ぶ民間事業者を選定するというものです。

現在マリーナホップを運営する第一ビル-サービスを中核とするみどりグループはHP上で2025年以降も事業の継続を希望し、改めて民間事業者に選定されるよう公募に係る各種申請、手続きを進めていることを表明しています。
当該用地は現在の事業者との契約満了後に県道下の本管を除く地下の給水管、下水道管、ガス管含めた現施設を撤去して更地で県に返還する契約となっていますので、現在のインフラをそのまま継続利用できるみどりグループは他の候補者よりも資金でもスケジュールでも有利ではあるでしょう。

しかし運営者がたびたび変わったことにより、迷走を続け方向性の見えない店舗配置や住宅展示場や自動車・二輪関係に大きく敷地を割き狭さを感じる施設、西飛行場による高さ制限という理由があったにせよ背の低い観覧車やこじんまりとした遊園地など要改善箇所は多いです。
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水族館など既存の施設を活かしながらも全体を丸ごと作り変えるような提案でなければ選定されるのは難しいように思います。個人的には敷地全体を使い遊園地の中に店舗が点在するような施設であれば家族連れが多く楽しめるのでないかと思ったりします。

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選定のスケジュールは既に資格申請は終わり、9/1から事業提案を受け付けています。選定委員による審査を受けて12月には新しい広島のウォーターフロントの事業者が決まる予定です。

中国地方整備局が広島地方合庁舎敷地内に「広島地方合同庁舎防災棟」を建設する計画が進んでいます。計画では鉄筋コンクリート造の地上8階地下1階の新庁舎を3号棟の北側にある駐車場の一部に建設し、周辺に分散する5官署5施設を集約します。

入居を予定しているのは中国総合通信局・中国地方整備局建政部・同道路部の一部・広島東税務署・中国四国厚生局健康福祉部・広島労働局職業安定部です。それに加え合同庁舎既存各棟の電気室を集約し、水害時の電力確保を図ることで合同庁舎全体の防災拠点としての機能強化を図るものです。

防災
現在の中国地方総合通信局は1958年東税務署は1972年の建設、建設部や道路部などともに老朽化と狭隘が問題となっています。厚生局健康福祉部と労働局職業安定部は民間ビルに入居し賃料が発生しています。

計画では集約による国有財産の有効活用も盛り込まれおり総合通信局や東税務署跡地は民間に売却されることも予想されます。

この計画は国土交通省が8月4日に開催した社会資本整備審議会の官公庁施設部会・事業評価小委員会の合同会議で「宿毛海上保安署」「土佐清水海上保安署」と共に新規事業採択時評価の結果、事業は妥当と判断されました。総事業費は67億円、2022年度に事業採択し28年度に完了予定です。

今回の建設予定地となる3号館北側駐車場にはかつて地上12階地下1階の5号館の建設が杭まで工事が進んでいた段階で事業見直しで建設中止となったという経緯があります。この時の計画では今回入居予定の官署部署に加え白島クレドに入居している中国地方整備局港湾空港部まで移転するというものでした。今回一回り小規模にて復活と考えるとお役所の執念的なものを感じます。

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