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広島市は西区福島町の旧食肉市場跡地を活用する民間事業者を募集する公募型プロポーザルを公示しました。 

旧食肉市場跡地は食肉市場が1992年に草津港に移転し遊休地となっていましたが、敷地面積約20,000平方メートルうち東半分の約11,000平方メートルをすでに西区地域福祉センターとその駐車場や民間保育園の整備に活用しており、今回募集するのは残りの約9,000平方メートルとなっています。

食肉市場跡地のある福島町は人口減少及び高齢化が西区の平均を大きく上まわるとともにスーパーなどの生活利便施設の空白地帯になっているなど多くの課題を抱えています。
市は土地活用の基本方針として地域の生活利便性や活力・魅力の向上、高齢者の福祉や健康増進、若年層の居住の促進を挙げてこの地域に医療・福祉・商業の都市機能の誘導を狙っており、売り場面積1,000平方メートルの食料品スーパーを必須としています。


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約9,000平方メートルで事業者に一括で土地を一括で購入し施設を整備運営することを求めています。また、敷地の南と西の道路は尾大きく拡幅することとなっています。

事業者の決定は2022年4月ごろで、契約から3年以内に工事を完了し供用を開始しなければならないほか契約後10年間は他の用途に転用が出来ないことになっています。

広島市中心部の八丁堀地区既存の複数のビルを建て替える大規模な再開発事業が進んでいることが明らかになりました。

広島市民病院の東側、相生通と城南通りに挟まれた広島YMCAを含む行政エリアと商業エリアの境目付近1.2ヘクタールを再開発し3棟のビルを建てるというものです。
八丁堀全体地図 2021-06-07 153124
    上の赤枠が今回の再開区域、下の青枠は基町駐車場外からなる再開発区域です

早速地元の中国新聞が2日にわたり複数の記事を精力的に上げていますが、その中から抜粋します。
広島・八丁堀に高層ビル3棟建設計画 15~30階程度・300億~400億円規模、28年度目標
(前略)
複数の関係者によると、再開発エリアは1・2ヘクタール。教育関連施設やホールが入る広島YMCAのビル5棟をはじめ、市勤労青少年ホームが入る幟会館、銀行やコンビニがある民間ビル、マンションなど計10棟がある。いずれも1960~80年代に建てられ、老朽化が課題だった。

 計画では全棟を取り壊し、地上15~30階程度のビル3棟を建設する。設備の整った高規格ビルに更新し、魅力を高める狙い。広島YMCAなど、一部の機能は引き継ぐ。市の京口門公園(1120平方メートル)は新ビルの谷間に移し、植栽やベンチを整備した憩いのスペースを設ける。

 地権者たちが17年11月に「広島八丁堀3・7地区市街地再開発準備組合」を設立し、協議を進めてきた。大手ゼネコンを事業協力者に、本年度中の市への都市計画案の提出と決定を目指している。23年度以降に順次着工し、全体の工期は5年程度とみているという。

(後略)
中国新聞 2021/06/01

中国新聞を含む各社の報道をざっくりまとめると、京口門公園や幟開館のある北側に地上16階建てのA棟、広島YMCAなどのある南側に地上28階建てのB-1棟と地上15階地下1階のB-2棟を東西に並べて建設。
A棟は中高層を国際的な教育機能と業務機能、低層部に商業機能と福祉機能を配置する。南街区は西側のB-1は28階建て住宅と地域貢献設備、B-2は15階建てで業務商業の高規格業務ビルを計画し、B-1棟とB-2棟の間に京口門公園を配置換えするというものです。

元々は北側のエリアで2016年から勉強会を進めるなど再開発の話が持ち上がっていましたが、YMCAを含む南側が加わり一気に具体化した模様です。

年度内の都市計画決定に向けて広島市と協議を進めており、順調に話が進めば2022年度に正式に再開発組合を設立し、23年度に権利変換計画の認可を経て着工。A棟を先行整備し竣工後にB棟建設に着手、28年度内の事業完了を目指します。

八丁堀スクリーンショット 2021-06-07 152121
                               中国新聞より

現時点で地権者の8割が同意、概算議場費は300億から400億を見込んでいます。地権者の8割が同意ということは残るはビル1棟というところでしょうから、同意が取れなければ最終的にはそこを外して進めるのではないでしょうか。

再開発区域北側にビルを持つ砂原組が準備組合理事長・事務局長を担当し、事業協力者として大成建設が参画しています。

このエリアはYMCAをはじめ1960年代から80年代に建てられたビルが多い上に広島YMCA本館を除いていずれも小規模です。これらを現代の需要に合う耐震化や情報技術への対応を個々のビル単独で行うのは採算が合わないと判断したのでしょう。

広島市中心部ではこの計画を含めて大規模なオフィスビルの建設計画が幾つも浮上していますが、新規のまとまったオフィス需要があるわけではありません。これらの計画を後押ししているのは広島に地方拠点を持つ企業がオフィスを関連企業まで含めて1か所に集約を進めたいという要望、いわば乗り換え需要です。既存のビルではこれらの企業が求めるワンフロアの広さや耐震性、セキュリティを含む情報技術に対応できないがために新た物件を求めているのです。

一連の再開発が完了した時、空きフロアばかりになった旧ビルのオーナー達がどのような判断をするのでしょうか?建て替え、共同で再開発、オフィスビルからの転換、さまざまな方向性が考えれます。ただ願わくば街中がコインパーキングだらけになるのは勘弁してほしいです。

本通り商店街で大規模な複合再開発図行が進んでいることが明らかになりました。

再開発の対象エリアは鯉城通りの本通り交差点東側で、本通りを挟んで南北に2つの高層ビルを低層でデッキで繋ぐ計画となっています。再開発エリア内にある広島アンデルセンは再開発から除かれると見られています。地権者でつくる「本通りを本通3丁目地区市街地再開発準備組合」は4月15日に「商店街の入り口にふさわしい、新たなランドマークを目指す」大規模複合再開発事業の事業協力者として野村不動産を選んだと発表しました。


野村不動産は岡山市や松山市など全国の地方都市の再開発事業に積極的に参画を進めています。同社は広島アジア大会開催時にAcityの開発を手掛けました後に広島からは事実上の撤退をしていましたが、この事業で広島の市場に復帰することとなります。
スクリーンショット 2021-05-10 1.22.28                       野村不動産発表資料より


本通り商店街は江戸時代からの間口が狭く奥行きが長い店舗が多く、出店を希望する企業があっても諦める状態が続いていました。また現在の耐震基準に合わない建物も多く所有者は対策を迫られてました。
 
今回の再開発エリアを含む紙屋町・八丁堀地区は2018年に都市再生緊急整備地域に指定され、更に20年には税制優遇雨などがさらに手厚い特定都市再生緊急整備地域になりました。
都市再生緊急整備地区内では用途地域や容積率・日影規制などが緩和されるほか、附置駐車場も開発計画ごとに配置計画を作成できるようになります。この指定を受け2020年3月より地権者らによる勉強会・意見交換を重ね準備組合設立となりました。

計画では再開発エリアは南北約100m、東西約140m。本通りを挟んで北側にオフィス、南側にマンションの高層ビルを建て商業機能や広場機能を持たせた低層部分をデッキで繋ぐこととなっています。都市再生緊急整備地域内では規制が緩和され道路上空または地下に建築を行うことが可能になりました。どうせなら地下街シャレオと直結して欲しいですが、それが無理ならせめてアーケードから直接地下街に降りられるようにして欲しいものです

中国新聞の記事では再開発エリアの地権者は35人で調整が難航するのではないかと書いています。しかし再開発エリアで大きな割合を占める鯉城通りに面した南北のビルは三菱地所と明治安田生命の同じ三菱グループであること、本通に面した広い間口の建物を所有するのはクマヒラや金正堂など地元の老舗が多いこと、準備組合の理事に名を連ねるのは中小の地権者が多いことなどから大多数の同意は得らるのではないかと思います。小規模地権者の持つ間口の狭い敷地では高層化して土地を有効活用したいがエレベータを設置すれば店舗面積が大きく削られる、かといって階段だけでは3階建てが限度と追い込まれていますのでこれを大きなのチャンスではないでしょうか。

本通り電停周辺は繁華街であると同時にアストラムライン・バス・広電が集中していてJRこそないですが市中心部と近郊とを結ぶ重要なターミナルです。広島駅周辺が再開発が進んでいますが紙屋町も今回の三菱グループ中心のオフィスビルが実現すれば広銀本店などと共にビジネスの拠点のひとつであり続けるでしょう。

広島市の中央公園に新しいサッカースタジアムを設計・建設する事業者がが事実上決まりました。

広島市は設計施工一括方式で事業者を募集していた中央公園広場への「サッカースタジアム等整備事業」について事業者選定審議会からの答申を受け、大成建設、フジタ、広成建設、東畑建築事務所、環境デザイン研究所、復建調査設計、あい設計、シーケィ・テックからなる共同事業体を優先交渉することを決定しました。
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大成JVは大成建設が新国立競技場、東畑建築事務所は京都スタジアム、環境デザイン研究所が新広島市民球場とスタジアム設計の経験のある企業とフジタ、広成建設、復建調査設計という広島をよく知る企業からなり地ます。


大成JVが提案した案は「みんがつながるスタジアム」をテーマとしていて、その最大の特徴はスタジアムの四隅が大きく開いていることです。
開放的なデザインは試合のある日はスタジアムからまち全体がへ熱気と高揚感を伝え、風通しがよく天然芝の育成にも効果を発揮します。
スタジアムと広場との間に神楽やアーバンスポーツの会場としても使える螺旋状のスパイラル広場やミュージアムなどの多機能施設を設け試合のない日の集客に努めるほか、スタジアム2階には南北2本の自由通路を設けて広場とスタジアム更には基町護岸とをつなぎ、試合のない日でも市民が自由に行き来できるようします。
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ただし今回のスタジアムは案はあくまでも提案であり、今後広島市との交渉次第でプレゼンで公開されたデザインとは大きく異なる可能性があります。
事業費参考価格として257億400万円(税込み)が見込まれていて、市は県と50億づつの負担を見込んでいますが県との費用負担に関する具体手的な交渉はこれからですので大きく減額となる可能性もあります。
また事業者選定審議会はスタジアムは大規模な施設であるために周辺への景観的な影響が大きいことから、今後の設計・施工にあたり以下の点の配慮を求めています。

1 戦後の広島を形造ってきた都市景観の歴史を踏まえ、周辺環境と調和し県民・市民に親  しまれる外観デザイン、特に屋根形状などの更なる検討
2 広場エリアについては、既存の広場が持つおおらかな開放感の継承と、スタジアムエリ  アとの一体感生み出すデザインの工夫
この意見を受け入れるならば城南通り側の屋根形状やスタジアムと広場との間を結ぶ螺旋状スロープなどは縮小される可能性があります。
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広島市は2021年4月より価格交渉に入り5月には仮契約を結び、6月議会の承認を経て本契約を締結の予定です。

全体の事業期間は2024年7月末までででサッカースタジアムとペデストリアンデッキは3月末までです。しかし大成JVの提案に寄ると契約締結後。2021年末までに基本・実地設計を終え、2022年1月に着工。2024年Jリーグ開幕までの約25か月間での工事完了を目指すとのことです。



広島市は現地での建て替えを計画していた北庁舎別館について隣接する北庁舎と一体での周辺への移転の可能性を検討を始めました。

市役所本庁舎の北側に位置する別館は貯金局跡地の市有地に1961年に被ばく者向けの健康管理施設である広島原爆被爆者福祉センター(原爆センター)として建設され1967年に増築を行いました。センターが千田町の広大工学部跡に移転した後は市の外郭団体や教育員会の一部が入居しています。バブル末期には、基町の青少年センターや音楽ホールを抱えた本庁舎に匹敵する高層ビルを建てるというツインタワー構想があったように聞きますがそれもバブル崩壊と市の財政悪化で消え去りました。

別館は老朽化が著しい上に増築部と手狭で段差もあり使い勝手が悪く、市では中国電力南側の袋町学区会館との集約を含めて現在地での建て替えを1年間検討してきましたが別館単体での建て替えでは市が想定している民間資本の活用は困難という事で隣接する北庁舎を含めての移転検討を行う事となりました。北庁舎は築40年で耐震改修済みな為、取り壊しはせず別館跡地と合わせて移転後の活用を検討することとしています。

市は2021年度の当初予算案に経費算出・課題整理・候補地選定・移転後の跡地利用の検討に900万円を計上しています。

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すでに本年度候補地を選出する業務を委託しておりすでに条件を満たす候補地を複数抽出しています。来年度末には基本方針を示す予定です。

業界紙の中建日報によれば市総務企画総務課は「本庁舎との連携を考えると、徒歩5分以内程度の範囲で検討したい」と言っています。

市は徒歩で5分程度の範囲内で検討するとありますが、この範囲内に存在する市の所有する北庁舎と別館のフロアを収容できるのは西側のみらい創生高等学校敷地に新築するか南側の職員会館と合築の男女共同参画推進センター(ゆいポート)ぐらいしか見当たりません。新築は考えにくいですしゆいポートも体育館など職員向け施設を転用しないと難しいです。民間のオフィスビルで考えるにしても既存の入居者の問題があります。可能性があるとすれば国泰寺高校南のNTTビルかJA広島ぐらいでしょうか?
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この中ではJA大手町支店の入るJAビルは本店機能は安佐南区中筋に移転しますし、9・10階は貸会場として運用してますので転用が他よりも容易かもしれません。
課題は幾つか思い浮かびますが、それでも北庁舎別館という長年広島市が抱えている都心の問題がひとつ動き出しそうです。

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