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交通

3月21日、広島が建設を進めてきた平和大橋北側の歩道橋が開通しました。
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平和大橋は南北にそれぞれ車道との間を縁石で区切られた歩道がありますが幅が約2mと狭く通勤通学など日常的に利用する市民や観光客などの増加する歩行者だけでも混雑している上に自転車も通る為に常に接触の危険がありました。

耐震診断の結果、阪神・淡路大震災クラスの地震では落橋の可能性があることが判明したことなどから広島市は平和大橋自体の架け替えも検討しましたが巨額の費用が掛かることなどから断念し歩道橋の整備を計画を進めました。

平成20年に国際コンペを開き国内外29社が応じ最優秀案を決め順調に計画が進む様に見えましたがこの直後に就任した松井市長は東詰交差点の市道廃止に地元住民が反対していることを理由にコンペの結果を破棄し白紙に戻しました。広島市は再度歩道橋の計画を立て平成26年度に建設に着手しこの度の開通となりました。
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コンペ時の条件では将来的な平和大橋の架け替えに対応できる様に大橋と歩道橋の間は15m程度離す事になっていましたが新たな計画ではイサム・ノグチの欄干に直に触れられるまで平和大橋に近接させています。新計画案のデザインはノグチのデザインした欄干を引き立てる様に歩道橋の欄干はガラスで橋自体も床面が平和大橋より低くなっています。この設計は入札状況やデザインアドバイザー会議の資料などから推測すると市の基本計画を元に委託業社が設計を進めたと思われます。その為か欄干なども既製品ベースとなっています。
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また建設費用はコンペ時の条件では6億円以内となっていたものが報道によれば最終的に倍以上の13億円となっています。また結果として無駄になったコンペに4300万円を投じています。

新たな歩道橋は歩道部分が5.7mと既存の歩の3倍近い幅を有し歩行者と自転車の通行帯で舗装を変えています。境目には照明を埋め込み夜間でも区別しやすい様に配慮をしています。歩道橋新設に伴い平和大橋北側の歩道は廃止され1mほど車道の拡幅に使われ、残った部分は管理道となります。これにより従来は片側2車線に必要な幅がない状態で車が並走していた状態が解消され、新たに車線境界線が引かれます。この工事は夏ごろまでに行われる予定です。

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新しい歩道橋では道路交通法に基づき車道側、つまり平和大橋のイサム・ノグチの欄干に近い方に自転車レーンが設置されています。基本的なコンセプトはノグチの欄干に触れられることです。一応欄干と自転レーンの間にはガタガタのブロックを敷き詰めたり間にレーンの境界を示す照明を埋め込んだりと自転車が進入しにくい様にはしていますが歩行者と自転車双方が相手に対しての意識を持たないと接触の危険性は高いと思われます。自転車レーンへの誘導表示が小さく目立た点も気になりますので早々の改善が望まれます。

マツダスタジアムの広島駅からの歩行者用道路の整備がようやく動き出しました。

平成21年にマツダスタジアムが完成当初から広島駅とスタジアムの間の歩行者による渋滞は問題となっていて、広島市はこれを解決するべく翌22年2月に愛宕踏切からスタジアムを結ぶペデストリアンデッキの予備設計に着手しました。23年4月にはCブロック再開発組合が再開発ビルの3階に歩行者デッキを整備する都市計画を決定し、27年には再開発ビルの歩道デッキに着手し28年には歩行者デッキに接続するペデストリアンデッキと階段の整備を行いました。

この様に当初はCブロックからスタジアムまでペデストリアンデッキで繋がった計画でした。愛宕踏切から先もJRが旧宇品線跡地をデッキ用地としての提供を承諾したことにより早期に実現するかと思われましたが、28年8月になってカープロード沿線へ飲食店の出店が相次ぎ生まれた賑わいへの配慮をとの地元社協からの申し出などにより愛宕踏切周辺のみの高架化へと大幅に縮小され着工ました。

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今年度はEKI CITY(駅前再開発Cブロック)東端から愛宕跨線橋までの連絡橋建設工事と愛宕踏切以東JR敷地内の埋設物調査・道路設計が入札公示されています。


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来年度末には踏切車道を越える高架橋建設と歩道拡幅が完成するものと思われます。

最終的に広島駅と愛宕踏切越えまでが2階デッキレベルで接続されるには駅ビルの建て替えとEKI CITYとの連絡橋の完成を待たねばなりませんがとりあえずは一歩進んだということに喜びましょう。

県道伴広島線の己斐峠部分の改良工事が進んでいます。
広島市街西部の西区己斐地区と安佐南区伴地区を結ぶ峠越えの伴広島線は高速4号線の完成で市内中心部と西風新都を結ぶ最短ルートの座からこそ降りましたが石内バイパスに直結していることや伴側出口付近の石内東地区には日本郵便の配送施設やこの春開業のイオンのアウトレットなどがあり地域の期間道路として重要性は増しています。

しかし現在の伴広島線は谷に沿って幾重に折れ曲がる上に、道幅も狭く路線バスが達にも関わらず大型車の離合がこんな区間があります。

そこで既存の拡幅、迂回バイパス、トンネルの3案が検討され最も費用効果が高いとされた迂回バイパス案が採用されました。

国泰寺より北の佐伯区側1,100mは平成13年に改良が完了して既に供用されていますが西区側1,430mはかなり遅れてようやく平成25年度より工事に着手し北側の620mは今年度29年度末には供用開始となります。その後、南側に着手し全体としては平成30年代前半の完成を予定しています。

下の写真は今回の工事の西区側起点になる箇所です。
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この地図中央の現在地の赤丸の部分になります。
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佐伯区側の起点はこの正面の土手になります。この土手の向こう側に直進する形になります。
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表からは見えませんが登山道を登ると土手を厚さ10mほど残してほぼ造成が終わっています。
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今回の工事区間を大まかに示すとこの様になります。赤い線が今年度末に開通部分、青い線が今後着手する部分になります。赤い部分は山を崩すだけでしたが青い部分は谷を越えるので橋梁工事も必要になります。
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伴広島線の改良は沼田分かれまででそこから西広島駅まではアストラムライン西風新都線の受け皿となる都市計画道路己斐中央線が担います。己斐中央線は平成30年代後半に用地買収をし40年代前半に開通予定となっています。
                               




10月に入り広電本社前電停の改修工事が行われています。

ホームに掲示されている張り紙によればホームの延長と拡幅及びホーム上に待合室の設置となっていて来年3月末の工事期間となっています。
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電停工事自体は「広島市総合交通戦略(交通ビジョン推進プログラム)」で28年度調査29年度着工となっていましたが詳細は発表されていませんでした。広電本社前電停は越智前社長時代の2012年にマダムジョイ前にレストラン電車「トランーヴェール・エクスプレス」設置時にヨーロッパ風デザインに改装されていましたが5年で再度姿を変えることになります。
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ホーム延長はホームの長さを現在の倍近くにし宇品線で運用されている連結車両を2編成同時に停車できるようにします。ホーム拡幅は電停横を通る片側3車線の県道を2車線に減らして空いたスペースを使いホーム幅を現行の約1.3mから3mへ拡幅します。待合室はホーム上に透明な仕切りに囲まれた数人が座れるスペースを確保し車椅子スペースや空調も整備します。

この工事に伴い電停近くのバス停が日赤病院側に横断歩道御幸橋側に移設されます。

10月27日付の中国新聞によれば将来的には線路上にバスを乗り入れホームから乗り降り出来るようにしてバスと路面電車との乗り換えをスムーズにする市内循環交通の結節点とすることを検討しているとのことです。

広電、そして広島市は紙屋町-広島駅間のバス・電車の料金統一や市内循環バスの創設など市内交通の再編成をしていてこの電停工事はその一環となります。
 

JR西広島駅南口周辺で民間主導の「西広島駅前西地区再開発プロジェクト」準備が進んでいることが明らかになりました。

3月30日には地権者達による西広島駅西地区市街地再開発準備組合が設立されました。5月に予定する第1回総会で17年度の事業計画や資金計画を決める予定となっています。準備組合の構想では高層マンション・事務所・クリニック・公共施設・コンベンション機能・生活環境を補完する業務機能を想定されています。18年度の事業計画、22年度の完成を目指します。

再開発の対象となるのは宮島街道とJR山陽本線に挟まれた1.9ヘクタールでその中には広電西広島駅と一体化しているひろでん会館や宮島街道に面した己斐中通商店街、市が国鉄資産事業団より取得し駐車場・駐輪場としても使用されている0.4ヘクタールも含まれます。
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昨年度より地域の活性化を目的として広島土砂災害復興に取り組み広島スタジオを設置している東京大学復興デザイン研究体が7回に渡るまちづくりに関する勉強会を開催してきました。様々な支援策を提案する中で第1種市街地再開発事業として都市機能を再整備する事が望ましいという声が上がり再開発プロジェクトが始動する事となりました。
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広電西広島駅に併設するひろでん会館は昭和39年竣工ということで築50年を超え、広電としても建替えを検討していました。広電も再開発への参加に前向きで「地権者がまとまるなら再開発に協力したい。市のまちづくりにとも連携する」と中国新聞の取材に応えています。

西広島駅周辺というよりも己斐地区の再開発はアストラムライン延伸に翻弄されてきたと言っても過言ではありません。元々西広島駅南口は昭和48年に区画整理を完了していました。現在南口周辺に見られる商店などはこの時代のものです。その後平成13年にアストラムラインの西広島までの延伸が決まり、広島市は同年11月と翌年1月に住民説明会を行っています。この時点では完成を平成27年ごろとしていましたが、その後市の財政難による公共事業見直しなどにより平成40年代まで開通予定がずれ込み、昨年度よりようやく地質調査に取りかかりました。この間西広島駅周辺の再開発は棚上げされわずかに用地買収が行われたのみでした。これはアストラムラインの駅の位置が決まらないければJR駅の高架駅舎も南北を結ぶ立体都市計画道路である自由通路も位置が決まらず工事に取り掛かれなかったからです。結果として広島都市圏で有数の乗降客数でもあるにも関わらずJR西広島駅はエレベーターなどのバリアフリー整備も行われませんでした。しかしアストラムライン延伸を前提としたJR駅を含む再開発が決定したことにより高架駅舎・自由通路・南北口前広場の整備が開始されました。

この南口前広場の再整備にはひろでん会館の建替えやアストラムラインの延伸が実現する際には自由通路をひろでん会館まで延ばしていきたいという計画があることが平成24年3月開催の第38回広島都市計画審議会議事録に記載されています。この通路が実現しますとJRと広電の間にある旧西国街道沿いの商店は人の流れから完全に取り残される形になります。そのことに対する危機感、それと自由通路ができることにより北口広場に新設のバスターミナルからの歩行者に加えてこれまでJR西広島駅の東西に踏切に分かれていた歩行者が合わさり広電とJRの間を行き来する歩行者が相当数増加することにを商機と捉えたことが地域全体を巻き込んだ再開発となったと思われます。

広電の立場から見ますとひろでん会館はこの2月に広島市により耐震強度不足が公表されことからも分かりますように老朽化が著しく建替えは避けられない状況でした。しかし建替えるとなると食品スーパーを始めとするテナントの工事中の仮店舗が必要となります。ここで地域再開発に参加をしますと再開発エリア内に仮店舗を持つことが可能になります。また市に対してひろでん会館までの自由通路延伸の予算を組んでもらおうとすると南口広場再整備に実際に動き出すこの時期がリミットであったとも言えます。

準備組合が想定している公共施設・コンベンション機能についてはJR駅北口にある己斐公民館の入居が考えられます。己斐公民館はアストラムラインが通る己斐中央線の道路用地内に位置していて移転は避けられません。この己斐公民館は他の標準的な公民館の2/3程度しか延床面積がなく周辺住民からは拡充が強く求められていました。また広電は大田社長の時代にひろでん会館建替の際にはホテルや宴会場を導入するアイデアを披露しています。自社食品スーパーの競争力を上げるために狭いひろでん会館からJR駅南側に移転しひろでん会館を公民館と合わせてコンベンションセンターとすることは充分に可能性があると思います。

この再開発で鍵となるのは広電と広島市の動向です。ひろでん会館は建物は広電所有ですが土地は別に地権者達がいます。中国新聞記事中の「地権者がまとまるなら再開発に協力したい」の地権者とはひろでん会館の地権者を指すものと思われます。これらをスムーズにまとめられるかどうかが重要です。
広島市は業界紙ではオブザーバー的な立場で参加したいと答えてますが実は広島市は再開発エリア内に国鉄清算事業団から先行取得した土地を持つ最大の地権者です。またシャッター商店街となっている宮島街道沿いの中通り商店街は市営店舗で本来は道路拡幅の立ち退き者の為の店舗で設置時の入居者が出た後は新規入居者を認めず取り壊し予定でした。
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さらには冒頭の再開発エリアの地図には八幡川沿いの石内己斐線の拡幅に伴う立ち退きする店舗・住宅も含まれていてこの再開発が市の事業を円滑に行うための側面支援の性格が強いことが分かります。広島市が地権者の反感を買わぬ程度に口と手と金を出していく必要があります。

最後にどんな再開発になるかですが民間では最大の地権者となる広電の都合と東北震災でも広島土砂災害でもコミュニテイ活動の支援をしてきた東京大学復興デザイン研究体が関わるということで横川駅前のカジルモールに更に地域住民が交流できる要素を加えたような計画になるのではないかと私は予想しています。気軽に入っていき適当なところで立ち話をしていく路地的な要素、そんなものが取り入れられるのではないかと勝手に考えています。
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